飲食業の職域ワクチン接種、活動について。~ドリームリンク職域接種を終えて~

2021年10月15日
株式会社ドリームリンク
代表取締役 村上雅彦

 おかげ様をもちまして「ドリームリンク職域接種」が無事に完了致しました。本事業は「コロナの急所」と言われ続け約 2 年に渡り精神的、経済的に大きな煽りを受けており限界に来ている外食産業に「勇気」「安心」「希望」を与えることができたと感じます。

 振り返ってみますと河野太郎大臣による「国にはモデルナ社のワクチンがたくさんあるので民間の意志でワクチン接種を出来る制度をスタートする」という、いわゆる「職域接種」の発表を聞いて本事業はスタートしました。この報道を聞いた全国の多くの飲食店経営者が「これで自分たちでもコロナに立ち向かう手立てが出来た」と喜んだと思います。というのもコロナ禍における飲食店で出来ることは衛生管理、換気の徹底くらいしかありませんでした。そんな中、自らの意志でワクチンを接種してお客様とスタッフを守る事が出来、店の安全宣言を発令出来る職域接種は「安心安全の店作り」の大きな武器となるからです。

 ところが発表翌日「職域接種は1,000人以上の申し込みを対象とする」との発表が追加されました。飲食店の多くは家族夫婦単位で店を営んでいる零細事業主です。一事業所で1,000人という数値を聞いて多くの飲食店経営者が諦めたはずです。「このままではコロナの急所は会食と言われ続け厳しい経営を強いられている飲食店が蚊帳の外に置かれてしまう。全県の飲食店へ呼びかけを行い、小さな足し算をして1,000人を集めよう」ということで本事業への取り組みがスタートしました。

 最初に相談したのは秋田県医師会の小玉弘之会長でした。会長は私達の突然の無理な要望を快くご承諾くださいました。そして秋田県看護協会、秋田県薬剤師会へもお声掛け下さいました。その後、秋田県、秋田市からもご協力を頂きまして、本事業は順調に進めることが出来ましたが「告知」という課題が最後に残りました。全県の飲食店へ本事業を知って頂き1,000人を集めなければなりません。多くの県民へ告知する方法として「記者会見」を開催することを選択しました。ドリームリンクだけの会見ではなく、秋田県医師会の方にも共同で会見をして頂きたいとお願いを致しました。小玉弘之会長はこちらも快くご承諾して下さいました。そして「会見会場でお困りなら秋田県医師会館を使ってください」とまでおっしゃって下さいました。

 6月23日14:00秋田県医師会館にて、小玉弘之会長、小泉ひろみ副会長、村上雅彦による記者会見は開催され本事業は発表されました。ところが発表当日の17:00、河野大臣から「職域接種の申込み数が想像を超えてワクチンが足りないので6月25日17:00で締め切る」との発表がありました。私たちはあわてて発表翌日の24日までに集まった1,800人にて申込を完了致しました。

 当初、国からの連絡では「8月上旬にはワクチンをとどけることができる」とのことでした。しかし、その後、国からの連絡は途絶えてしまい、8月17日(火)に農林水産省外食・食文化課より「8月30日の週にワクチンを配送できる」旨の連絡を頂きました。そこから再度会場の確保等様々な要件を最短で満たす日程にて職域接種を行う事が出来ました。

 当初の予定より遅れた間に、地域接種を済ませた人が1,800人の申込者の中にたくさんおりました。また「職域接種は公共性が高い団体から配布する」ということで我々の前にワクチン供給を受けた「大学」「公共団体」等の職域接種に約1,100人の申込者が流れ、我々の申し込みは最終申込日には700人ほどに減っておりました。

 「職域接種でワクチンを無駄にした企業はその名前を公表する」というルールがあります。貴重なワクチンですので当然のルールですが、不足した 300 人を集める見通しが立たない環境下、「諦める」という意見もございました。しかし打ちたくても打てない 700 人のワクチン難民がいることも事実です。「よし、300 人集めよう!」ということで見切り発車で申し込みを致しました。

 その後も他の職域接種や地域接種への流出者は止まらず、最終的にはドリームリンクの職域接種は 500 人程度となっておりました。「ワクチンを打ちたくても打てない飲食店関係者はまだまだたくさんいるはずだ」。手分けをしてその方々を探し出すことに労力をかけました。窮地をマスコミの方々が扱って下さり「ドリームリンク職域接種はキャンセルによる当日の受付枠がある」ということを報道して下さいました。ブラウブリッツ秋田(J2)の岩瀬社長はじめ、多くの方々がドリームリンクの窮地をSNS等で発信して下さいました。その様な皆様のご協力の結果、ワクチンは無駄を出すことなく希望する全員へ接種することが出来ました。

 終わってみて感じることは「やってよかった」ということです。外食産業は若いフリーターが多い業態でございましてワクチンを打ちたくても打てない「ワクチン難民」に手を差し伸べることが出来たのではないかと、安心した表情でお帰りになられる方々の姿を見て感じました。

 1回目の接種を終えて聞いたのですが、飲食業組合等の団体ではなく、民間の弱小飲食店同士が寄り添うことでワクチン接種を行った職域接種は全国で本事業だけだそうです。本事業の趣旨にご賛同頂き、迅速なご対応とご支援を頂いた秋田県医師会、秋田県看護協会、秋田県薬剤師会、秋田県、秋田市、報道関係の方々をはじめとする関係各位の皆々様に深く感謝申し上げます。特に、小玉弘之秋田県医師会会長のご支援が本事業の全てを支えて下さいました。会長が私達におっしゃった「心配しないでください。誰一人取り残しません。」という言葉が私達の原動力となりました。この深くて重い言葉が全国で唯一の事業を進める事ができた全てを語っていると思います。重ねて御礼を申し上げまして、ドリームリンク職域接種の御礼とさせて頂きます。本当にありがとうございました。

ニュース

NHK秋田放送局

ABS 秋田放送

AKT 秋田テレビ

AAB 秋田朝日放送

新聞記事


2021年6月24日(秋田魁新報)


2021年6月24日(読売新聞)


2021年6月24日(朝日新聞)


2021年6月24日(北羽新報)


2021年6月24日(北鹿新聞)


2021年6月25日(日本経済新聞)


2021年6月26日(秋田魁新報)

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